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欧米を中心に拡大・普及が続いているセールスイネーブルメント。DX(デジタルトランスフォーメーション)とシステムや考え方が重複する部分もあることから、DX推進が加速している日本企業においても注目を集めています。
ここでは、セールスイネーブルメントの歴史に関して、1990年代の黎明期から2010年代の拡大期までの流れや背景、および2020年代におけるその役割の変化についてご紹介しています。
セールスイネーブルメントという考え方が、いつ誰によって始まったのかという点については諸説ありますが、以下ではセールスイネーブルメントの歴史や始まりに関連して重要とされる2つのトピックをご紹介しましょう。
1つ目が、1998年ごろに登場した「salesenablement.com」というWebページ。このドメインこそが「セールスイネーブルメント」という言葉が使われた最初の例と考えられています。
当初からさまざまな情報発信が行われるページとして注目されていましたが、2022年現在でもなお、多くのオピニオンリーダーたちがこのページを通じて重要な情報発信を行っています。
2つ目が、John Aiello(ジョン・アイエロ)氏とDrew Larsen(ドリュー・ラーセン)氏の存在。コンサルティングファームのMEREO社は、現在のセールスイネーブルメントのパイオニア的存在として両氏を紹介しています。
1999年、両氏はさまざまな業界における営業上の課題として、「差別化やバリューメッセージの欠如」「曖昧で非効率的なセールスプロセス」「顧客やソリューションに関する情報不足」を提示。これら営業上の課題に対し、「セールスパーソンの効率・効果の向上」と「変化を続ける顧客に合わせた販売戦略」の重要性を説きました。
両氏が注目したテーマは、まさに現在のセールスイネーブルメントの底流をなすものと同じです。考え方としてのセールスイネーブルメントは、両氏から始まったと考えて良いでしょう。
なお、両氏の考え方は、当時一部のコンサルタントやセールス・トレーナーに受け入れられたものの、広く普及したわけではありません。多くの企業の営業部門から注目されるようになったのは、2010年代に入ってからと言われています。
iPhoneなどのモバイルデバイスが2010年前後から急速に拡大し、インターネットを通じて、顧客自身がさまざまな情報へ手軽にアクセスできる時代となりました。
この急速かつ大きな変化により、それまで営業パーソンが提供していた情報を顧客自らが検索できる時代が到来。営業パーソンが商談に訪れる際、すでに顧客が情報を検索済みという状況が生まれたため、従来の営業手法が通用しにくくなり、セールスイネーブルメントが強く求められるようになったのです。
テクノロジーを活用した顧客との関係性構築や営業行動・成果の可視化という考え方が注目され、多くの企業ではMarketing Automation (MA)やAccount-Based Marketing (ABM)など、各種データサイエンスの手法によるセールスイネーブルメントを「画期的」であると評価しました。
また、企業の営業部門におけるこれらの自然の流れとは別で、Forrester社やGartner社などの分析会社、またセールスイネーブルメントコミュニティなどの活動も、セールスイネーブルメントの拡大に貢献しています。
たとえばForrester社は2010年、レポートを通じてセールスイネーブルメントの定義を公開。セールスイネーブルメントという言葉の定着に大きく影響を与えたとされています。2013年に誕生したセールスイネーブルメントコミュニティ「Sales Enablement Society」の活動もまた、セールスイネーブルメントの認知拡大に大きく貢献しています。
セールスイネーブルメントに基づくソリューションを提供しているベンダーの数は、2005年に比べて2015年には倍増。多くのベンダーからの情報提供を通じ、今や多くの企業においてセールスイネーブルメントに基づく戦略が営業部門のベースをなしている状況です。
セールスイネーブルメントは、もともと営業部門における成果創出や行動の効率化などを目指して生まれた考え方でしたが、現在、特に海外先進国では、セールスイネーブルメントのカバー範囲を営業部門だけではなく「顧客接点を持つあらゆる部門」まで拡大しています。
「顧客接点を持つあらゆる部門」とは、たとえばマーケティング部門やカスタマーサービス部門、インサイドセールス部門、SE部門など。ほかにも顧客と直接接点を持つ可能性がある部門には、積極的にセールスイネーブルメントの考え方やツールが導入されています。
セールスイネーブルメントがさまざまな部門まで拡大した理由は主に2つ。1つ目がクラウドの普及、2つ目が新型コロナによるパンデミックです。
クラウドが普及したことで、顧客における製品活用率や解約率、顧客からの案件受注や継続率、パートナー企業の営業データ、オンボーディングのデータなどが容易に取得できる時代へと変化。これら情報取得の容易性を背景に、イネーブルメントの考え方をさまざまな部門を横断的・有機的に浸透させようという機運が高まりました。
また、新型コロナによるパンデミックは、2010年前後のモバイルデバイス登場時と同様に、顧客行動に大きな変化をもたらしました。これらの変化の中には一時的と思われるものも少なくないものの、たとえばリモートワークなどのように、長期的に定着すると思われる変化ももたらしています。
顧客行動のベースが変化すれば、企業もあらゆるチャネルで変化を余儀なくされます。結果、営業部門だけではなく、さまざまな部門において横断的・有機的なセールスイネーブルメントの浸透が進んでいます。
なお、海外の大手リサーチ機関「CSO Insights」によると、2019年時点で「セールスイネーブルメントの専門組織やプログラムを設けている」と回答した企業は、調査対象の約61.3%。セールスイネーブルメントは、すでに多くの企業にとってコモン・センスとなりつつあるようです。
当初は営業戦略のための考え方・ツールという位置づけだったセールスイネーブルメントは、現在ではその役割が広く拡大しています。システムや顧客行動は常に進化し続ける以上、それに呼応するセールスイネーブルメントも未来永劫にわたり進化し続けることでしょう。
THREE SELECTIONS
多くの営業組織で共通して見られるボトルネックは「教育」「資料」「プロセス」の3領域に整理できます。
以下では、それぞれの課題における代表的な解決アプローチとして、3つのツールをご紹介します。

商談をAIが数値で“見える化”
営業の改善点が
一目でわかる
<課題>
新人が多い組織では、商談をリアルタイムで確認できず、育成はOJT任せになりがちです。
<解決の仕組み>
エンSXセールスアナリティクスは商談録画の内容と質をAIがスコア化。
数値をもとにプロ講師が指導することで、個々の改善点を客観的に自覚できます。
この手法で組織変革を進めたエンの売上は4倍に成長※。「AI解析 × プロ講師の指導」で
新人でも短期間で成果を出せる営業体制を実現します。

資料の一元管理とログ活用で、
提案の“ばらつき”を
整える
<課題>
商材や顧客に応じて提案資料が複雑化する現場では、資料の保存・更新が属人化し、管理や品質のムラが課題になる傾向があります。
<解決の仕組み>
Sales Docは、提案資料の最新版や実績資料を一元管理し、チームで迷わず活用できる環境を提供。
過去の提案や成果資料も検索・再利用できるため、手戻りや属人化を防ぎ、提案の均質化を実現します。

進捗・KPIを見える化。
必要なアクションが
ひと目でわかる営業体制に
<課題>
営業プロセスが属人化し、商談の停滞要因や業務の優先順位が見えにくい現場は少なくありません。
<解決の仕組み>
SALESCOREはCRMに蓄積された営業データをもとにフェーズごとの進捗やKPIを色分けして可視化。
停滞や漏れを早期発見し、次の行動をチーム全体で共有することで、“感覚”ではなく“根拠”に基づいて動ける営業組織を実現します。
※参照元:エン(https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/26972.html)2014年からの5年間